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里帰り出産するべき?里帰り出産のメリット・デメリット

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里帰り出産とは、妊婦が自分の実家へ戻って出産し、産褥期~手助けが必要な期間を実家で過ごすこと。
こういったスタイルの出産を「里帰り出産」と呼びます。

里帰り出産について、メリット、デメリットを中心にまとめてみました。



里帰り出産は日本ならではの事情から生まれた?

里帰り出産をする習慣があるのは日本のみだといわれています。
確かに香港などでも例があるそうですが、世界中ほとんどの国では出産に際して里帰りをするという発想はなく、ほぼ日本独自の生活様式といえそうです。

古くは封建制度が関係しているという里帰り出産が今でも引き継がれているのには、日本ならではの事情が関係しています。

育児は女性が担当するという考え

ひとつは、日本では育児は女性が担当するという考えが強く根付いていること。

世の中の変化にあわせ育児における男女の役割分担はだいぶ柔軟になってきてはいますが、やはり「育児は女性の仕事」という考えは根強く、未だに社会のしくみは男性が育児をするためには十分ではありません。

ですから、今でも里帰り出産をしないととてもじゃないけどやっていけないというケースもあるのです。

自然分娩が主流

もうひとつは、主にキリスト教圏の先進国との比較ですが、日本では無痛分娩が普及していないこと。

回復の早い無痛分娩が主であるアメリカでは、産後の入院期間は1日、2日程度
一方、無痛分娩の普及していない日本の場合、産後の入院期間は一週間くらい。

入院期間の差からもわかりますが、日本で主流の自然分娩は、産後に寝たきりですごす「床上げ」があるくらい身体に大きな負担がかかります。
この「床上げ」のために、里帰り出産が必要というわけです。

社会、風土にあっているが・・・

つまり、里帰り出産は日本の社会、風土にあったスタイルの出産であり、メリットがあるといえます。
しかし、当然、デメリットもあるのです。

詳しく見ていきましょう。

産前産後のメリット

里帰り出産をする場合、産前産後に必要なケアが受けられ、安静に過ごすことができます。
里帰り出産の大きな目的のひとつと言えるでしょう。

家事の負担からの解放

妊娠初期は、おなかの中の赤ちゃんのために落ち着いて過ごしたい時期。
無理は禁物です。
つわりがあったり疲れやすくなったりと家事をするのが困難な時期でもあります。

その後も、適度な運動は推奨されているものの、おなかの張りが気になる、急な眠気、おなかが大きくて無理な姿勢がとれないといったことから、従来通りに家事を完璧にこなすのはなかなか難しい状態が続きます。

状況によっては、妊娠中全般を通して医師から安静やを言い渡されることもあります。
絶対安静ならほぼ寝たきりです。

また、妊娠中は注意力が散漫になると言われています。
そのため、マルチタスクな作業である家事が苦手になってしまうことも。

もちろん、ひとそれぞれではあります。
ですが、どれも妊娠中には起こり得る出来事です。

しかし、里帰り出産であれば、実家の家族に家事をお願いできます。
家事から解放されることで、安静が必要な時、家事が辛い時、しっかりと休むことができ、精神的にも身体的にも安定した状態で過ごすことが可能です。

産褥期のケアとサポート

産後も実家に泊まり、ケアとサポートを受けながら育児をスタートすることは、産婦にとって大きな負担軽減になります。

産後すぐの産褥期は、体力的にはもちろん、ホルモンが不安定なせいもあって精神的にもかなりハードな状態です。
こんな状態で、ひとときも目を離せない新生児を育てるのですから、心身ともにぼろぼろになる産婦も少なくありません。

しかし、産褥期を実家で過ごすことのできる里帰り出産ならば、無理をしながらの家事負担というストレスから解放され、育児に専念できる、体力の温存ができる、メンタル面でのサポートが受けられるなどの大きなメリットがあるといえます。

安心感というメリット

肉親に囲まれて実家で過ごす安心感も、里帰り出産のメリットです。

育児スキルの継承

里帰り出産は実母から娘への、育児スキルの継承にもつながります。
実母という育児経験者がいる環境であれば、育児への不安も軽減するでしょう。

生まれ育った家と家族

里帰り出産をする先は女性の実家であることがほとんどです。

生まれ育った環境、馴染んできた生活文化・習慣、血縁者に囲まれて生活することで、遠慮なく周囲に頼ることができ、ストレスなく生活できるメリットがあります。

常に自分以外の誰かがいる

いつでも家に自分以外の誰かがいる状態というものは、心強いものです。

核家族化が進む現代、里帰りしなければ日中は誰もいない自宅で過ごすというケースは少なくないでしょう。

体調、産後の回復具合によっては、妊娠中~産後は引きこもりがち。
すると、どうしても大人と会話する機会が少なくなってしまいます。
この日中の孤独感は、落ち込んだり、鬱のような状態を引き起こしやすいものです。

ですが、実家であれば、日中も家族がいることが多く、そのようなストレスを回避しやすい環境といえます。

緊急時も安心

また、常に家に誰かがいるということで、急な体調の変化といった緊急時でもすぐ家族に助けを求めることができるという安心感があります。

里帰り出産は産後クライシスの原因?

「産後クライシス」とは、産後、パートナーとの関係が悪化する現象で、離婚にいたることもあります。
そして、里帰り出産は産後クライシスの原因のひとつである言われているのです。

産後クライシスを引き起こすとされている里帰り出産のデメリットは、次のようなものです。

男性の父親になる機会喪失

妊娠すると、女性には非常に大きな変化がおこります。
ほてり、めまい、つわり、むくみ、貧血、倦怠感、眠気、圧迫感、体重の増加など、身体的に不快な変化はもちろん、不安、落ち込みやすい、涙が出る、イライラするなど情緒不安定になってしまうこともあります。

これらは、お腹の赤ちゃんを育てるためホルモンが生成されることによって引き起こされる変化です。

産後も女性は気が立ちやすい状態にあり、育児疲れも重なって、情緒不安定が続きます。

こういった産前産後の女性の変化に戸惑い、悩む男性は少なくありません。

しかし、こうした妊娠にともなう女性の変化によりそうことは、男性が父親になるために必要不可欠なのです。

女性は自らの身体が変化し、生を育む実感をもって過ごし、命がけで出産し、母親になっていきます。

一方、男性は自分では妊娠・出産の経験できません。
そのために実感がわきにくく、父親としての自覚が遅れてやってくると言われています。

しかし、妊娠・出産で変化する女性を目の当たりにし、サポートすることで、その自覚を促すことはできます。
新生児との生活も、父親の自覚を促してくれるでしょう。

里帰り出産でその機会を奪ってしまうことは、男性の父親としての自覚という点で非常に大きなデメリットとなります。

このような男女の親としての自覚の時差は、主に女性から男性への愛情を薄れさせることによる産後クライシスを引き起こします。

お茶の水女子大学の菅原ますみ教授の調査によると、日本の産後クライシス独自の特徴として「女性の愛情の下がり方の著しさ」があるそうですが、日本独自の習慣である里帰り出産の影響が反映された調査結果といえそうです。

出典:NHK 生活情報ブログ ”産後クライシス”ひょっとしてあなたも?!

女性の実家依存

「実家依存」は本来男女どちらにも起こり得ることですが、里帰り出産は女性の実家依存のきっかけになるようです。

里帰り先の家族は、女性にとって心置きなく頼れる存在です。
ですが、あまりに度が過ぎると依存心が強くなってしまうことがあります。

ついつい、居心地の良い実家への里帰り期間が伸びたり、里帰りから自宅へ帰っても赤ちゃんを連れて実家へ入り浸ったり。
このように過度に実家に頼り続ける状態が「実家依存」です。

「実家依存」はパートナーとの関係を悪化させ産後クライシスを招く、あるいは産後クライシスから「実家依存」になるなど、産後クライシスと密接な関係にあります。

男性の孤独

出産予定の医療機関へと転院するため、妊娠32週~34週めくらいには里帰りすることになります。
その後は体調や都合にもよりますが、一ヶ月検診を受けるために産後一ヶ月までは里帰り先に滞在にすることが多いようです。

それだけの期間を男性は一人で生活しなくてはなりません。
男性は家族から孤立することとなり、孤独を感じるでしょう。

この期間に生じたコミュニケーション不足、孤独感による心の距離は、家庭不和、産後クライシスへとつながりかねません。



実家そのものがデメリット

中には実家で過ごすことがリスクやストレスとなり、デメリットであるケースもあります。

肉親が過保護

妊婦さんによっては、上げ膳据え膳の生活に単調さを覚え、退屈になるということもあるようです。

実家の手厚過ぎるケアにありがちなのが、心配だからと、妊婦さんが動くことを極端に制限すること、産前産後を通して食べろ食べろとやたらすすめられること。
これは、栄養状態が良くなかった時代の名残によるものですが、現代の栄養状態ですと、妊婦の肥満、母乳トラブルなどの原因にもなります。

妊婦の肥満はおなかの赤ちゃんにとってとても危険なことですので、里帰り出産にあたっては、妊婦の軽運動や食事内容についての実家家族の理解が必要です。

また、実家の家族が過保護であることや肥満の危険性への無理解であること事態が妊婦のストレスになることもあります。

産後も口を出される

育児スキルの母子継承は里帰り出産のメリットですが、育児は日進月歩。
かつての育児の常識が現在では非常識になっていることも少なくありません。

里帰り出産すると、その延長でいつまでも育児に口を出されることもありえます。
古い育児の常識を押しつけられるのはストレスですし、赤ちゃんにとって良いことではないでしょう。

将来的には教育や進学にまで強く口出ししてくる可能性もあります。

実家の様変わり

実家といっても、慣れ親しんだ我が家であるとはとは限りません。

実家族の転居により、かえって不慣れな環境や地域の習慣の中での生活を強いられることもあります。
転居をせずとも、リフォームなどで不慣れな間取りになって、使い勝手の悪さを感じることもあります。
兄弟姉妹の結婚による家族構成の変化で、家の中の雰囲気が変わっていることもあります。

あるいは、すでに自分が新しい家、家族に慣れきって実家に違和感があることもあります。
もともと実家の習慣を好まず、新しく作り上げた自分の習慣のほうが良いということもあります。

そのような場合、里帰り出産によって実家へ帰ることは、かえってストレスになってしまいます。

社会・地域的なデメリット

社会的、地域的なデメリットもあります。

病院の受け入れ

産婦人科医師不足による周産期医療崩壊の危機感は深刻です。

例えば、島根県。
県の報告によると、県内の分娩取扱医療機関は2011年時点で22施設。
このまま産婦人科医が増えなければ、10年後には島根県の産科医療体制は崩壊のおそれがあるとしています。

産婦人科不足は何も地方に限った問題ではありません。
都市部でも、分娩取扱い中止が一カ所で発生すると連鎖して地域全体で産科医療が崩壊してしまう都市型の産科医療崩壊がおきているのです。

このような事情から、里帰り先によっては分娩取扱医療機関が著しく不足している可能性もあります。

そのため、分娩予約数を制限している、あるいは地元住民の分娩予約を優先しているなど、里帰り出産の受け入れが十分でないこともありえます。

たとえ受け入れがあっても、上の子がいるので一緒に泊まれる個室が良いとか無痛分娩希望など、条件を満たす施設が選べないこともあります。
ハイリスクの場合はさらに難しいことになるかもしれません。

出典:島根県 周産期医療のあり方検討会

出典:千葉大学大学院医学研究院 産婦人科医師不足と医療崩壊

妊婦健康診査受診票が異なる

妊娠を区市町村へ届出ると、妊婦健康診査受診票が発行されます。

これは、本来全額自己負担となる妊婦健診に対し、公費による助成が受けられるものです。

しかし発行されたのと異なる自治体では、妊婦健康診査受診票は使用できません。

自己負担した実費の一部に対し助成を受けることができますが、後日、手続きをしなくてはならず、面倒だと感じるかもしれません。

ちなみに、海外在住で海外転居届を提出済みの場合。

住民登録がなくなるので、妊婦健診への助成は受けられません。

さらに、国民保険から外れているため、国民健康保険加入者が出産した際に支給される出産育児一時金もありません。

移動の負担

里帰り出産をするためには、里帰り先の地域まで移動しなくてはなりません。

もしも里帰り先が遠方であれば、移動が妊娠中の身体の負担になりかねません。

海外からの里帰り出産なら移動だけでもかなりの負担です。

特に飛行機は負担となりリスクも生ずることから、妊婦が飛行機に搭乗する場合、国内線・国際線とも出産予定日の28日前からは搭乗の7日以内に発行された医師による診断書が必要になります。

国内線なら出産予定日7日以内、国際線なら出産予定日14日以内だと、なんと診断書プラス医師の同乗も求められることに。

産後、里帰り先から自宅へ戻る際には、まだ小さな赤ちゃんを連れての移動となります。

赤ちゃんのおむつ・ミルクなどでかさばる荷物を持って、周囲に気を使い、おむつ替えや授乳のできるスペースの心配もしつつ、赤ちゃんを守りながら移動しなくてはなりません。

もちろん、移動のための費用もかかります。

男性の面会も、時間と費用を要するので遠距離であれば回数がかぎられてしまいますし、タイミング良く出産に立ち会うのも難しくなります。

出典:ANA 妊娠中のお客様 [国内線] 
出典:ANA 妊娠中のお客様 [国際線] 

文化の違い

里帰り出産の習慣はほぼ日本独自の、非常に珍しいものです。

そのため、特に国際結婚の場合、パートナーの同意が得られるとは限りません。

里帰り出産の今後

2009年の論文「里帰り出産に関する研究の動向と課題」(大賀明子)には、こうあります。

    小林42)は里帰り出産というシステムを養育性という視点から評価し、母親にとって初めての子育てと母と娘の関係発達に寄与する場、養育性形成に関わる場となりうる可能性を述べている。
    出典:里帰り出産に関する研究の動向と課題

母親が産前産後安心して過ごせ、育児にも良い影響があるのは、里帰り出産のメリットです。

一方、こういう調査結果も紹介しています。

    木村34)は分娩 4 週後の対象に調査を行い、里帰りを選ばなかった父親の方が里帰りを選択した父親に比べてお産時の協力、母親の生活変化の理解、育児参加、父親としての実感が高く、里帰りを選ばなかった母親の方が夫に対する気遣いが高い結果を示した。
    出典:里帰り出産に関する研究の動向と課題

母親だけを考えればメリットの大きい里帰り出産ですが、父親にスポットをあてると、母親に較べ当事者としての自覚が遅くなりがちで産後クライシスの原因にもなるというデメリットも見えてきます。

これまで日本では「育児=母親の仕事」が当然であったために見過ごされてきた里帰り出産の「穴」です。

先ほどの論文のまとめにも

「里帰り出産がおよぼす影響のうち、親役割の獲得や家族の発達に関する研究成果の蓄積は少ない。とりわけ、父親にとっての里帰り出産という視点からの研究成果は十分ではなく、今後解明が必要である。」

とあるとおり、今後は父親も当事者であるという認識を持って里帰り出産を考えていくべきでしょう。

「里帰り出産をするべきかどうか」ですが、何より最優先なのは生まれてくる赤ちゃんです。
赤ちゃんにとってもっとも良い選択をしてあげてください。

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