「勉強しなさい!!!」
子供に「勉強をしてほしい」という親心から、口うるさく叱ってばかり…。
これでは子供が余計にやる気を無くしてしまう…。
そのような理由から、
「テストで良い点をとったら…」
「毎日きちんと勉強したら…」
と、ご褒美を用意するご家庭もあるでしょう。
その方法については賛否両論あります。
メリットとデメリット、そして上手なご褒美の与え方についてまとめてみました。
ご褒美を与える3つのメリット
ご褒美を用意する場合、次のようなメリットがあります。
1.意欲が高まる!
子供は何か目標を持つことで、「頑張ろう!」という意欲が沸きます。
それが子供の欲しがっている物であれば、より強い意欲が沸くかもしれません。
特に、素直にご褒美だけを目標に頑張ることができるのは幼い間だけ。
小学校低学年の子供には効果絶大です。
2.勉強定着の動機づけに!
最初はご褒美をもらうことが目的で頑張る子供。
そこで良い結果を出すことができれば、今後の勉強に対する気持ちが高まる動機づけになることは大いにあります。
高学年や中学生になれば、勉強することの大切さや学ぶことの楽しさを知ることは大切です。
そんな子供の気持ちを高めるキッカケになってくれたら嬉しいですよね。
3.親子関係を良好に!
ご褒美は、親と子供の約束事です。
子供が頑張ったことに対してきちんと目に見える形で評価を与えることは決して悪いことではありません。
ショッピングに連れて行く、夕飯を好きなメニューにするなど、ご褒美の内容によっては、親子のコミュニケーション時間を増やすことにもつながります。
ご褒美を与える5つのデメリット
メリットがある一方で、デメリットもあることを知っておきましょう。
1.喪失感を与えてしまいかねない
いくら目標を立てても、達成できなければ約束のご褒美は手に入りません。
そこで達成感が得られないければ、以前にも増して意欲を失う恐れがあります。
「どうせやっても出来ない…」
という喪失感を与えてしまう可能性が高く、ご褒美を用意することの怖さでもあります。
2.勉強の意図を勘違い?
毎回ご褒美を用意していると、勉強することの本来の意義を見失ってしまう可能性があります。
学ぶ楽しさより、物を貰うことが大切。
それでは、今後の勉強に対する本当の意味での意欲を高めることができません。
ノートを埋めれば良い、時間をかければ良い、それでは内容が不十分になってしまうことも考えられます。
勉強は自分のためにすること、知識を増やして人生を豊かにするため、将来の夢を叶えるためなど、勉強することの意図を誤って植え付けないようにしたいですね。
3.意欲が持続しない
「ご褒美をもらうため」
それを一番の目標にしてしまうと、貰ったらお終い!と次への意欲につながらない恐れがあります。
また、難しいかなと感じた時に、
「ご褒美は別の方法で貰おう」
「次のときでいいや」
と、諦めが早くなってしまいがちです。
ご褒美の『与え方』が大切
ご褒美の与え方にも様々な考えがあります。
与えること自体が良くないのではなく、与え方を考えてみましょう。
良い結果を導き出すことができるかもしれません。
結果に直結させない!
・テストで100点をとったら
・学年で〇位以内に入ったら
・○○ちゃんより良い成績をとったら
というような、達成ラインを明確に表示する条件は良くありません。
もし達成できなかった場合、子供の意欲は愕然と下がります。
結果ではなく、努力に対してのご褒美を与えることで、もし達成できなくても反省し、改善しようと考える力が身に付きます。
大切なのは結果よりも取り組み方です。
ノートやテストはしっかり見て!
子供が取り組んだノートや、採点されたテストをよく見てください。
点数だけでなく、内容をしっかり見ることで、子供の努力がどの程度なのかが見えてきます。
たとえば、とても丁寧に書いたために時間がなくなり、点数が半分しか取れなかった。
英語のテストでは単語も文法も誤っていないけれど、ピリオドをつけ忘れて×になってしまった。
小さなミスはあっても、覚えようと努力したことが確実に実を結んでいることを評価できますよね。
反対に、ノートを広げて時間をかけて取り組んでいても、よく見ると内容が不十分だったり・・・。
明かに雑な取り組み方をしていれば、それは評価するに値しないかもしれません。
そういった内容をしっかり見たうえで、ご褒美をあげるかどうかを判断するべきではないでしょうか。
努力を評価する与え方
たとえば小学校低学年くらいであれば、『取り組み表』を作ってみてください。
ショップのポイントカードのような感覚で、取り組んだ回数だけシールを貼ったりスタンプを押す方法です。
カードを渡して、あと何枚…あと何枚…と溜めるのでも良いでしょう。
「ここまで溜ったらご褒美が貰える!」
と、達成までの努力の度合いが目に見えるので、自分の現状を考えながら取り組むことができます。
高学年や中学生であれば、時間やページ数を決めるのも良いですね。
親が指示するのではなく、「どう努力するか」という目標を自分で計画させることが大切です。
結果=ご褒美
ではなく、
努力=ご褒美
という感覚で捉えると、「お疲れ様!」という気持ちで、親も快くご褒美を用意してあげることができるのではないでしょうか。
こんなご褒美はいかが?
ご褒美として物やお小遣いを考えるご家庭もあるようですね。
しかし、物やお小遣いだけがご褒美ではありません。
細かくしっかり褒める
子供にとって、実はママに褒められることが一番のご褒美になることが多いものです。
「頑張ったね」
「よくできたね」
だけでなく、
「この前より字が力強く書けるようになったね!」
「詳しくしっかり調べたね。何を使って調べたの?」
「こんなすごいこと、ママなら考え付かないわ!」
など、子供の行動を細かくしっかり褒めてあげてください。
少し大袈裟なくらいがちょうど良いかもしれません!小学1~2年生なら素直に喜ぶでしょう。
思春期になると反抗的な行動をとったり、「当たり前!」なんて生意気なことを言い返されるかもしれません。
それでも、褒められて嫌な気持ちになる子供はいませんよ。続けてみてくださいね!
小さなご褒美を段階的に
「何時までに終わらせたら、一緒に買い物に行って夕飯は御馳走にしよう!」
「ノートを丁寧に書けたらアイスを食べようか!」
「勉強している間にお菓子を作っておいてあげる♪」
など、小さな努力をその都度褒めるのも立派なご褒美になります。
瞬時に目標が目の前に迫り、瞬間的にやる気がUPしますよ!
子供のやる気がどうしても沸かない様子を見計らい、時々使うと効果的です。
親子の時間を作る!
普段は忙しいパパやママ。
「子供が勉強に勤しむ間、パパとママも一生懸命お仕事や家事を頑張るわ!」
そう目標を立ててみてください。
子供が頑張ることができれば、ご褒美としてパパ・ママもお仕事をお休みにして、一緒にお出掛けしよう!
と提案してみてはいかがでしょう。
ショッピングや遊園地、外食に行くのでも良いでしょう。
親子のコミュニケーションをご褒美にするのは、とても素敵なことだと思いませんか?
絶対にダメ!なご褒美も…
「毎日の勉強時間を減らしてほしい」
「ゲームやスマホの時間を増やしてほしい」
のようなご褒美を求めて来る場合があります。
これを約束してしまうと、次の目標が立てにくいうえ、成績が下がりやすい、勉強への意欲が激減するといったデメリットを導き出してしまいます。
このような条件は絶対に受け入れないように注意しましょう。
『オペラント条件づけ』
心理学用語に『オペラント条件づけ』があります。
実は、東大生の多くが、この方法を勉強に取り入れて育ったという結果があります。(※1)
『オペラント条件づけ』とは?
「ある目標を決め、それを達成したらご褒美を用意し、達成できなかったら罰を与える。」
このような条件を決めることを『オペラント条件づけ』といいます。
東大生の経験談を参考にすると、子供のうちは親がご褒美を設定。
「それを励みに頑張ることができた」という意見もあります。
また、ある程度勉強が定着した中学生~高校生くらいになると、
「1時間勉強したら1時間漫画を読む!」
「今日の勉強が終わったらケーキを食べよう!」
など、自分で目標&ご褒美を設定して取り組むことができるようになる傾向にもあるようです。
ペナルティは必要ない!?
『ペラント条件づけ』には“達成できなかったら罰を与える”との解説も明記されています。
しかし、実際にご褒美制を取り入れていた東大生の多くが、達成できなかったときのペナルティは課されなかったといいます。
「達成できなかった」
それは本人が一番落ち込むこと。
その気持ちだけで充分罰になり、そこにさらにお小遣いを減らすなどの罰をプラスすることは、余計に劣等感を植え付けるだけなのだそう。
確かに、その通りかもしれませんね。
成績が悪かったときは、ペナルティとは反対に、気晴らしに外食に連れて行くなどの配慮の方が、次の意欲につながるかもしれません。
上手に取り入れてみて!
勉強に対するご褒美。そこには賛否両論の意見があります。
周囲の意見に流されすぎず、我が子の性格や各ご家庭の方針に見合った方法を考えていきましょう。
基本だけは忘れないで!
ご褒美を与えるにしても与えないにしても、勉強は子供自信のためであり、ご褒美をもらうためではないことをしっかり教えて行くことが大切です。
幼いうちはご褒美が勉強を定着させるきっかけになるかもしれません。
しかし、成長とともに、ご褒美がなくても頑張れる力を育てていくことが必要です。
何のために勉強をするのか、ご褒美はどういった理由であげているのか、時折子供と向き合って話し合う機会も設けていきたいですね。
【参考文献】
(※1)「東大生が育つ家庭のルール」(東大家庭教師友の会 PHP研究所)