家族の実話エピソード

娘のお弁当

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娘の通う自由教育の私立小学校はお弁当です。

このお弁当制が私にはとてつもない苦痛に思えるものでした。もともと料理が苦手だった私。

娘の進学先は給食のある学校がいいと、ずっと思っていました。

しかし、やはり志望校を給食の有無だけで選ぶわけにも行かず。ユニークに育った娘の個性を尊重してくれるであろう、とある自由教育主義の小学校の門をたたくことになったのでした。

超がつく少人数制のその学校は、給食の設備があるはずもない素朴さ。結局、私は毎朝お弁当を作ることになってしまいました。

しかも最低でも六年間。だんだん大きくなるにつれ、量も増え、おかずも増やさなくちゃいけないな。

栄養のことも考えなくちゃいけないな。夏場のお弁当は傷むのが心配だな。電車でぐちゃぐちゃにならないように工夫もしなくては・・・

入学準備に購入したのは、娘が大好きなマドレーヌちゃんの絵柄の小さなお弁当箱。

かわいらしいお弁当に名前シールを貼りながら、心の中は喜びと不安がないまぜでした。

私は、本当にこのお弁当箱を毎朝満たすことが出来るのだろうか。

さて、学校が始まるとまずは嵐のような新生活。電車通学の娘に付き添って登校し、学校では講話を聞き、また付き添って下校。

どこの学校でもあることとは思いますが、この時期の母親は、阿修羅の三面六臂では足らず三面八臂の大活躍。

なるほど、母親はこうも忙しいのか、だから女性の弁天様は三面八臂なのかと関心したりしなかったり。

いよいよお弁当が始まれば、送迎とお弁当とでさらに目が回るよう。

とにかく、毎週生協から届くお弁当用メニューをひたすら詰めて詰めて詰めまくる毎日でした。

そうして、現在。

小学校二年生の二学期終盤です。

毎朝、お弁当をやっと作り終わると気分は「任務完了」。

Mission Impossibleをpossibleにやり遂げたIMF諜報部員のようになっています。

時にはAチームのような特効野郎ぶりで乗り切る朝だってあります。

詰め方の工夫や電子レンジメニューのレパートリーも増えたものの、やはり苦手は変わりません。

けれどもこの頃、とてもうれしいことが起きているのです。

お弁当の学校にして良かったと、心から喜びを感じる出来事です。

なんと娘が自分でお弁当を作ってくれるようになったのです。

といっても、私の用意したおかずとごはんをお弁当箱へと詰めるだけですが。

それでも、毎朝キッチンでお弁当を詰める姿に感動してしまいます。

なにより娘のほうから、自分でお弁当を作りたいと言ってくれたことが、うれしいのです。

小さな手で、どうやったら上手に入るか工夫しながら詰めるのもだんだん上達してきて。

梅干しをごはんの中央にのせる指先は、なかなか様になっています。

娘は眠らずよく泣く赤ちゃんで、苦労したといってさしつかえない時期がありました。

決して穏やかな育児ではなく、山あり谷あり海溝ありの道のりでした。

そういう暗雲育児でも、ほんの一瞬で救われることがあります。

娘のしぐさ、言葉、行動。

ほんのささいなことで、報われたと感じるのです。

今回のお弁当も、私には大いなる果報でした。

娘がお弁当を作ると言い出した時。

本当に早めに起きて、キッチンに立った時。

この瞬間、満ちてあふれるような、あたたかいものを胸の奥に感じました。

しゃもじでごはんをよそう横顔。

好きなおかずから順番に詰める笑顔。

きっちり詰められたお弁当。

お弁当を包む手つき。

お弁当を鞄にしまう姿。

お弁当の入った鞄の重さ。

お弁当を持って、行ってきますの後ろ姿。

毎朝、毎朝、毎朝、毎朝・・・

この瞬間のひとつひとつが、今の私の幸福なのです。

小学校入学前、あんなに不安に思っていた娘のお弁当。

そのお弁当が、娘を成長させ、私をこんなに幸せにしてくれました。

ありがとう。


この記事を書いたママ

厥日績

ゆったり系私立小学校へ通う娘とゆったり生活中のマイペースな専業主婦です。

トップ画像出典: familiar.co.jp

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