家族の実話エピソード

妊娠7ヶ月で実母の突然死「消えてく命と生まれる命」

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「妊娠中、ママのリラックスが赤ちゃんにいい影響をあたえる」

「ママのストレスは、赤ちゃんにダイレクトに伝わる」

そんな胎教についての情報を目にすると、私は少し胸が痛くなる。

思えば、娘を妊娠していた時、お世辞にもいい環境だったとは言えなかった。

妊娠7ヶ月の時、実母が亡くなるというショックがあったから...



結婚して4年。なかなか子供が授からず、不妊治療を始めた。

母も心配して、子宝にきくという温泉に一緒に入りに行ったこともあった。

その甲斐あってか、ようやく姙娠。

「お宮参りには、とびきり素敵なベビードレスを着せる」と、母も張り切っていた。

安定期に入り、平穏な日々が過ぎる中、ある朝、父から電話があった。

「お母さんが、倒れた。もう、息をしてない...」

朝、近所にパンを買いに行ったまま、気分が悪くなって倒れ、何とか家に帰って横になっているうちに、すでに亡くなっていたらしい。

母は若い頃から体が弱かった方だったけれど、ここのところは体調も安定していると、つい数日前に電話で話したところだった。

あまりに突然で、なかなか、受け入れることができなかった。

通夜・葬儀も、実感がないまま過ぎていった。

母の死をきっかけに、父が仕事を辞めたり、同居していた母方の祖母が引っ越すことになったり、実家に大きな変化がおこり、心配が尽きなかった。

今思えば、あの頃は赤ちゃんのことを一番に考えてはいられなかった。

目の前の現実を受け入れるのに、ただ、精一杯で。

今まで母とは、性格的にぶつかりあうところが多く、よくケンカもした。

だけど、それは、ずっと変わらずにいてくれると思う安心感があったからできたことだった。

いて当たり前の人が突然いなくなる。

自分の信じていたものが永遠ではないと気づいて、怖くなる。

そんな思いを初めて経験した。

そして、何度も何度も思った。

「なぜ、今なのか」と。

あと3ヶ月経てば、孫の顔が見れたのに...

せめて会って欲しかった。抱き上げて欲しかった。

けれど、きっと産まれてから亡くなっていたら、「もっと成長を見て欲しかった」と思っただろう。

一つ、このタイミングだったことに意味があるなら、私は妊娠していたおかげで、なんとかショックから立ち直れた。

お腹に赤ちゃんがいるという責任がなかったら、私は何も食べられず、もっと憔悴していたかもしれない。

自分がショックでも、食べて、栄養をつけなければ、と強く思ったのはあの時が初めてだった。

母を失った時、初めて私は、母になったんだと思う。



こんな状況だったにも関わらず、幸いにも、お腹が張るとか、体調が悪くなるとか、そんなことが一切なかった。

お腹の子は強い子だなと思った。

出産も、夜中に陣痛が始まり、朝になって病院に行くとすぐに破水、1時間後に生まれるという超安産。

生まれてからも、よく飲みよく寝る手のかからない子で、ふさぎがちだった家族に、たくさんの笑顔を運んできてくれた。

妊娠中、自分のショックで心穏やかにできなかった私。

ストレスを感じると、体に悪影響なホルモンがたくさん出て、それがへその緒を伝って赤ちゃんに届いてしまうという。

今になってそれを知り、娘に謝りたくなった。

「ごめんね。お腹の中にいた時、ちゃんと胎教とかしてあげられなくて」

そう言われても、きょとんとしている娘。

覚えていない頃のことを謝られても、何のことかわからないだろう。

あの頃の私に、ゆったり音楽を聞いてリラックスするとか、赤ちゃんにおだやかに話しかけるとか、そんな余裕はなかった。

でも、今なら、できることもあるはず。

お腹の中で胎教をしてあげられなかった分も、これからの娘に、精一杯の愛情をそそいでいこうと思う。

消える生命があれば、産まれる生命もある。

そうして、生命のバトンを受け継いで、今日も娘は明日に向かって成長している。

お腹にいる十月十日よりも、産まれてから生きていく年月の方がはるかに長い。

明日が続いていく限り、過去にできなかったことがあったとしても、少しずつ取り戻してゆける。

そう、信じている。


この記事を書いたママ

りぃ

中1娘と5年息子の母です。成長した子供と友達のように話せる今は人生の黄金期!大変な幼児期を乗り越えたからこそ見えることをお伝えしていきます。

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