家族の実話エピソード

広がる子供のテリトリー~自転車でどこまでも行ってしまう息子へ

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「ただいま~!」

遊びに出かけていた息子が上機嫌で帰ってきた。

「今日はどこで遊んでたの?」

「自転車で、◯◯まで行ってきた」

えっ?!
私は自分の耳を疑った。

それは、10キロ程先のアウトレットモール。車で行くと30分近くかかる。

車では何度も一緒に行ったことはあるものの、息子一人で行くのは初めて。なのに、道をしっかり覚えていたらしい。

海沿いに立つそのアウトレットに着いた時、潮風を感じながら、同時に達成感を味わっていた小学6年生の息子。

ビックリするやら、事故や怪我も何もなくてホッとするやら。

男の子の行動範囲の広さが急に広がるのには、本当に驚かされる。

息子の行動範囲が初めて母の手から離れたのは、小学校に入学した時だった。

それまで、バス通園の幼稚園に通っていたので、車で行かなければ遊べないお友達が多く、たいてい親同士が事前に約束して親同伴で遊びに行っていた。

小学生になり、近所の友達と約束し、一人で自転車で友達の家に行くように。

とは言っても、車通が多いけれど信号がなく、渡るのが危険な道がある。

最初私は、その道の向うには行かない、というルールを決めていたけれど、夫がそれを聞いて怒った。

「男の子は自由にどこでも行きたくなるもの。制限するんじゃなく、どう行けばいいか教えたらいい」

そこで、パパ主導の交通安全教室が始まった。

その道に息子を連れて行き、向かってくる車を見て「今なら渡って大丈夫」と思うタイミングで手を上げさせる。

息子が自分で判断して手を上げると、

「遅いっ!それじゃ轢かれてしまうぞ!」

・・・一体、何のスパルタ特訓なんだか。

息子が混乱していると、

「今の車、あのぐらいのスピードが出ていたら、あの看板のところでもう危ない。もう少しスピードが遅かったら、そこの角でも大丈夫」

と、具体例を上げながら説明していた。

パパのスパルタ特訓のおかげで、息子は渡れるタイミングをつかみ、晴れて自由にどこでも友達の家に行けるようになった。

子供を一人で外に出す。それだけでもう、母はハラハラしてしまう。

でも、だからって禁止するのではなく、ちゃんとルールを教えて行けるようにするのが親の務め。

息子が小学生になったと同時に、私も「小学生の母」という新しいステージに上った気がした。

息子の行動範囲は、小3の時に、更に大きく広がった。

当時スイミングに通っていたので、スクールバスを利用していた。

家に帰ってランドセルを置いてプールバックをつかみ、自分でバス停まで行って乗るのだけれど、ある時、バスに乗り遅れてしまった。

そこで諦めて帰ってくればいいのに、何を思ったか、

「走って行こう!」

と決めた息子。

そのままうろ覚えのバス道をたどって、本当にスイミングスクールまで行ってしまった!

スクールまでは直線距離でも5キロ程ある。その上、バス停に停まるためにあちこち曲がりながら走っているルートなので、更に距離はその倍近く。

それでも、迷うことなくたどり着いたらしい。

ただし、30分以上遅れて到着したので、着替えてプールに入ったらすぐに終了だったとか(苦笑)

バスに乗れなかった時点で諦めて帰ってきたら、振替で別の日に行けたのに、もったいない。

そんな損得勘定が母の胸をよぎるけれど、

「行ってこれたー」

と、なんだか本人は嬉しそうだったので、その顔を見ていると、まぁ良しとしよう、と思えた。

そして、もっと行動範囲が広がったのが、小6のこの春。

誕生日プレゼントで26インチの自転車を手に入れたことで、ギアの段数も増えてスピードも上がり、遠出することが更に可能になった。

友達の家や近所の店という範囲を越え、「一人で行ったことのないところへ行ってみたい」と思うように。

最初のアウトレットモールを皮切りに、西へ、東へ、北へ、南へと、息子のテリトリーは急速に広がっていく。

「今日はどこまで行ってきたの?」と聞くと、帰ってきた答えに「えっ、今度はそっち方向?!」と驚かされる。

息子の自転車プチ冒険。帰ってきた時はいつも満足気。

そして、辿った道を一緒に地図で確認する。

うろ覚えで通った道が、実際にはこうつながっていたんだとわかる。

息子の頭の中に、自分だけの地図が広がっていく。自分が自信を持って動けるテリトリーを、どんどん広げていく。

「男の子は知らないところへ自分で行ってみたいもの」

そんな性質とは裏腹に、

「母は子供を安全で目の届くところへおいておきたいもの」

相反する互いの気持ち。

そのバランスをとりながら、母は息子の手を徐々に離し、息子は外の世界へ飛び出すワクワクを体験していく。

親と一緒に行動していれば安心だ。何かあればすぐに守れるから。

でも、子供はどんどん親の目の届かない世界へと行きたがる。

その度に、事故に合わないか、迷って困らないか、いつだって心配でたまらない。

その不安と戦いながら、見守るしかない。信じるしかない。

小さい頃は、この腕に抱っこしていたのに。私の後を泣きながら追って来ていたのに。

いつの間にか母と目線が同じぐらいになり、外に目を向け、遠くを見つめ始める我が子。

これから先、バイクに乗りたい、車に乗りたいと、段階を追ってどんどんスピードの出るものに乗るようになる。

飛行機に乗って海外に行くこともあるだろう。

あと何度、こんな不安を乗り越えて行くのだろう。

でも、不安ばかりじゃなく、「ここまでできるようになったんだなぁ」と、しっかり成長していることに喜びも感じる。

色んな感情がないまぜになる。今までに味わったことのない複雑な感情を味わう。それが、子育てなんだと思う。

自転車でどこまでも行ってしまう息子へ。

自分の足で世界を広げて、自分の目でしっかりと新しい景色をその目に焼き付けていってね。

世界は君が思っているよりずっと広くて、色んな刺激に満ち溢れているから。

ただし、くれぐれも、十分に、周りには気をつけて。

「ただいま~!」

と目を輝かせて帰ってくるのを、母はいつでも、ハラハラしながら待っているよ。

この記事を書いたママ

りぃ

中2娘と小6息子の母です。成長した子供と友達のように話せる今は人生の黄金期!大変な幼児期を乗り越えたからこそ見えることをお伝えしていきます。

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